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「ヒムラーは好感を持てるとか、魅力的だとかいう特性のある人物ではなかった。その点で彼はヒトラーやゲッベルスとは全く異なる。この二人は必要とあれば実に愛想よく魅力的にふるまったものだったが。それに対してヒムラーはことさらつっけんどんでストレートな態度をとり、傭兵のような素振りと反ブルジョワ感情を誇示した。どうやらそれで生来の情緒不安定と不器用さを隠そうとしただけだったようだが。だがそれだけならまだ我慢できる。あの旅の途中、ヒムラーが同行者としてほとんど耐え難いまでになったのは、彼が私にひっきりなしに浴びせかけたあの根本的に空しい馬鹿げたおしゃべりのせいだった。こう言っても過言ではないと私はいまも尚信じるが、あれほど大量の政治的たわごとを、あれほど集中的な形で、高等教育を受けた人間がしゃべりまくるのを私は見たことがない。好戦的な大ぼら吹き、行きつけの居酒屋でくだを巻く小市民、目を血走らせて予言するさすらいの伝道者。それらが奇怪に混ざり合ったもの、それがヒムラーのあの延々たるおしゃべりだった。」(1929年にハインリヒと6時間列車に同乗したナチ党ハンブルク大管区指導者アルベルト・クレープスのその時についての戦後の回想) (ja) |