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英米の法制はコモン・ローと呼ばれる不文法を基本としていて、制定法はそれを修正・補充するために作られるだけである。ゲルダートの説明を借りれば、「コモン・ローは、作られたというよりもむしろ、生まれたものである。コモン・ローがいつ始まったか、はっきりした時期を指示することはできない。どこまでイギリスの判決録を遡って行っても、裁判官はすべて、どのような立法者によっても作られたものでないコモン・ローというものがそこに存在する、と仮定していることがわかる」。イギリスには、コモン・ローおよび制定法のほかになお、衡平法がある。これはもともとはコモン・ローの硬直化を緩和する任務をもったもので、大法官が「国王の良心の保持者」として裁判をしたが、近代衡平法では、倫理的色彩を残しながらも、先例を尊重し法的な尺度によって裁判を行うようになっている。コモン・ローは普通法裁判所によって、衡平法は衡平法裁判所によって運用される。かように、コモン・ローと衡平法とは別の体型になっているが、ひろい意味では、制定法に対して、この両者を含む非制定法ないし判例法をコモン・ローと呼ぶこともある。コモン・ローの国に対して、ローマ法系の成文法国をシヴィル・ローの国と呼ぶ。こうした特徴をもつ英法をヨーロッパ大陸法の学者の立場から考察した興味深い文献として、ラートブルフ『イギリス法の精神』を挙げておこう。 (ja) |